CMの“うまい”は誰の基準なのか?評価と好みのズレを整理【63-1】

ビールのCMで表現される「うまい」と、自分の感じ方のズレを示すイメージ。評価や広告と個人の好みを対比した構図

テレビCMでよく見かけるビール。

  • うまい
  • キレがある
  • 最高の一杯

といった言葉。

そうしたイメージを見て、実際に飲んでみたものの、

「思ったほど美味しく感じない」
「悪くはないけど、そこまででもない」
「なぜこれが“うまい”とされているのだろう」

そんな違和感を持ったことはないでしょうか。

これは決しておかしなことではありません。

むしろ自然な反応です。

なぜなら、CMで言われている“うまい”と、自分が感じる“うまい”は、同じものではない可能性があるからです。

この記事では、「評価」と「好み」の違いに着目しながら、
CMで語られる“うまい”の正体と、自分の感覚とのズレについて整理していきます。

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CMの“うまい”とは何か?

“うまい”は誰が言っているのか

CMで語られる「うまい」という言葉は、あくまで企業やブランド側が発信している表現です。

それは、その商品を魅力的に見せるための言葉であり、
必ずしも個人の味覚と一致するものではありません

広告の中では、理想的なシーンや感情とともに「うまい」が語られます。

つまり、「味そのもの」だけでなく、
そのビールを飲むことで得られる体験全体を含めた表現であることが多いのです。

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味そのものを直接表しているわけではない

CMでの「うまい」は、具体的な味の説明ではありません。

・苦味の強さ
・香りの方向性
・コクや余韻

といった要素を細かく説明するのではなく、
一言で「うまい」とまとめて表現しています。

そのため、人によって受け取り方は大きく変わります。

同じ言葉を見ても、「爽快そう」と感じる人もいれば、
「苦そう」と感じる人もいます。

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“うまい”という言葉の曖昧さ

「うまい」という言葉は、とても曖昧な言葉です。

ある人にとっては「飲みやすい」ことを指し、
別の人にとっては「コクがある」ことを意味するかもしれません。

さらに、

・その人の味覚
・過去の経験
・飲む場面

によっても意味は変わります。

つまり、「うまい」は共通の定義を持たない言葉です。

だからこそ、自分の感覚とズレが生まれることがあるのです。

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なぜCMの評価を信じてしまうのか?

繰り返し見ることで基準になる

CMは繰り返し目に入ることで、無意識のうちに基準を作っていきます。

何度も「うまい」と言われることで、
「これは美味しいものなのだろう」という前提が作られます。

この前提がある状態で飲むと、
本来の感覚とは別に、期待や先入観が影響することもあります。

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①ブランドの安心感

長く続いているブランドや有名な商品には、安心感があります。

「多くの人が飲んでいる」
「長く売れている」

という事実が、そのまま評価として受け取られやすくなります。

その結果、「間違いないもの」として選ばれやすくなります。

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周りと同じものを選びやすい心理

人は、周りと同じものを選ぶことで安心する傾向があります。

・みんなが飲んでいるから
・定番だから
・外したくないから

こうした理由で選ぶことは自然なことです。

特に飲みの場では、場の空気に合わせることも多く、
自分の好みよりも「選びやすさ」が優先されることもあります。

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(補足)同調行動・社会的証明という心理

心理学では、このような行動は「同調行動」や「社会的証明」と呼ばれます。

人は、自分で判断が難しいときや不安があるとき、
他人の行動を参考にすることで安心しようとします。

「多くの人が選んでいる=正しいだろう」

という認識が働くため、人気商品や定番商品が選ばれやすくなります。

これは合理的な判断でもありますが、
その一方で、自分の感覚とのズレを見えにくくする要因にもなります。

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②有名人やブランドの影響を受けやすい心理

CMでは、有名なタレントや俳優が「うまい」と表現することがあります。

その人に対して好意や信頼を持っている場合、
その評価も自然と受け入れやすくなります。

「この人が言うなら間違いないだろう」
「良いものに違いない」

こうした感覚は特別なものではなく、多くの人に起こる自然な反応です。

ただ、その評価はあくまで“その人の表現”であり、
自分自身の感覚とは別のものです。

気づかないうちに、
自分の感じ方よりも、外の評価を優先してしまうことがあります。

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(補足)権威性・ハロー効果という心理

心理学では、有名人や信頼している人物の発言を
無意識に正しいものとして受け取りやすい傾向があります。

これは「権威性」と呼ばれ、
影響力のある人の言葉ほど信じやすくなる心理です。

また、その人に対する好意がある場合、
その人が紹介するものまで良く感じやすくなる現象は「ハロー効果」と呼ばれます。

つまり、

・好きな人が言っているから良く感じる
・信頼できる人が言っているから正しいと思う

という形で、評価が自分の感覚に影響を与えることがあります。

これは自然なことですが、
その影響に気づいておくことで、自分の好みとの違いを見分けやすくなります。

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評価と好みはなぜズレるのか?

評価は“多くの人向け”に作られている

CMや商品設計は、多くの人に受け入れられることを前提に作られています。

そのため、極端な特徴はあえて抑えられることが多くなります。

例えば、

・強い苦味になりすぎない
・香りが強すぎて好みが分かれないようにする
・軽すぎず、重すぎないバランスにする

といった設計が行われることがあります。

これは、多くの人にとって“飲みやすい”状態を作るためです。

一方で、個人の好みはもっとはっきり分かれます。

・強い苦味が好き
・香りがしっかりしたものが好き
・軽い飲み口を好む

こうした違いがあるため、万人向けの設計が自分に合うとは限りません。

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好みは個人の体験から作られる

味の好みは、単なる味覚だけでなく、体験によっても作られます。

・初めて美味しいと感じたビール
・楽しかった場面で飲んだ一杯
・印象に残った香り

こうした経験が積み重なることで、「好き」という感覚が形成されます。

そのため、同じビールでも人によって評価が分かれます。

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同じビールでも感じ方は変わる

同じ銘柄であっても、

・飲む時間
・飲む場所
・体調や気分

によって感じ方は変わります。

つまり、「うまい」「合わない」という感覚も固定されたものではなく、
状況によって変わるものです。

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評価と好みを分ける考え方

自分感覚に目を向けてみる

ビールを飲んだとき、まず感じたことは何だったでしょうか。

「美味しい」と思ったのか、
それとも「そうでもない」と感じたのか。

その感覚は、自分の中から出てきたものなのか、
それとも事前に見た情報やイメージに引っ張られているものなのか。

一度立ち止まって考えてみることで、
自分の感覚に目を向けてみることで、外からの評価を分けて捉えやすくなります。

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「人気だから美味しいはず」という前提を脇においてみる

もし、「人気だから美味しいはず」と思って飲んでいるとしたら、
その前提を脇においてみてはどうでしょうか。

評価を先に置くのではなく、
「自分はどう感じるか」を先に考える。

その順番を少し変えるだけで、
見え方が変わることがあります。

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「好きかどうか」で考えてみる

「美味しいかどうか」ではなく、
「自分はこれが好きかどうか」で考えてみる。

すると、評価基準が少し変わります。

・他人にとっての正解ではなく
・自分にとっての相性

として捉えることができるようになります。

その結果、合わないことに対する違和感も減っていきます。

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違和感をそのまま受け取ってみる

「なんか違う」と感じたとき、
それを否定する必要はありません。

むしろ、その違和感こそが、自分の好みを知るヒントになります。

・なぜ違うと感じたのか
・どの要素が合わなかったのか

そうした問いを持つことで、
少しずつ自分の軸が見えてきます。

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実際に飲んだときの感じ方

CMで見たイメージと、実際に飲んだときの感覚が一致しないことはあります。

むしろ、そのズレに気づくことが重要です。

・思ったより苦かった
・思ったより軽かった
・印象に残らなかった

こうした感覚は、そのまま受け取って問題ありません。

評価と違うと感じること自体が、
自分の好みを知るきっかけになります。

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ビール好きとして思うこと

クラフトビールを飲み始めて、多様な味わいに出会うまでは、
自分自身で“ビールの風味”について考えることは、ほとんどなかったかもしれません。

・一番搾りが美味しい

そう思っていたのも、ビール好きの知人の言葉や、周りの影響があり、
そのまま自分の中で「美味しい」と認識していた部分があったのだと思います。

当時は「ビールを味わう」というよりも、
「酔うために飲む」ことが中心でした。

そのため、自然と酒量も多くなり、
安く、たくさん飲めることが大切になっていたように思います。

そこから一周回ってラガーに興味を持つようになり、
大手ビールの飲み比べをする中で、
大手ビールには大手ビールならではの特徴や良さがあることにも気づきました。

「誰かの評価」をそのまま「自分の評価」とするのではなく、
自分自身の感覚で「どう感じるか」を捉えられるようになると、
ビールの楽しみ方は広がっていくのではないかと思います。

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まとめ

CMで語られる“うまい”は、一つの表現であり、
すべての人に当てはまる基準ではありません。

評価と好みは別のものです。

この2つを分けて考えることで、
ビールとの向き合い方は少し楽になります。

次は、「ビールの好みがわからない人へ|自分の好きに気づくための考え方【64-1】」を通して、好みに気付くための考え方を見ていきます。

▶ ビールの好みがわからない人へ|自分の好きに気づくための考え方【64-1】

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関連リンク

▶ ビールの好みはどう見つける?違和感から自分の感覚に気づくための考え方【60-1】

▶ ビール好きの方向け:初めてのクラフトビール(買い方、飲み方、楽しみ方)

▶ クラフトビールの基本から読み解く ― ビールの構造と味わいの全体像 ―


更新日:2026年5月1日

公開日:2026年5月1日