なぜ人によって苦味の感じ方は違うのか?遺伝子・慣れ・文化から解説【9-6】

人によって苦味の感じ方が異なる理由を、遺伝子や文化の違いで表現したイメージ

これまでの記事では、

・ビールの苦味の正体
・人が苦味を感じる仕組み
・人類が苦味を受け入れてきた背景

を整理してきました。

そしてここで残る疑問が、

「なぜ人によって苦味の感じ方が違うのか?」

という点です。

同じビールを飲んでも、

・とても苦く感じる人
・それほど苦く感じない人

がいるのはなぜなのでしょうか。

この記事では、苦味の「個人差」に焦点を当てて整理していきます。


苦味の感じ方は人によって違う

苦味の感じ方には、明確な個人差があります。

これは単なる好みの問題だけではなく、

・遺伝
・経験
・文化

といった複数の要素が関係しています。

つまり、苦味の感じ方は

「生まれつき」と「後天的な要素」の両方で決まる

ものです。


味覚受容体の遺伝子

苦味遺伝子

人間の舌には苦味を感じる受容体があり、その働きには遺伝的な違いがあります。

代表的なのが「TAS2R38」という苦味受容体に関わる遺伝子です。

この遺伝子の違いによって、

・苦味を強く感じる人(スーパーテイスター)
・苦味を感じにくい人

が存在するとされています。


味覚の違い

この遺伝的な違いにより、

・同じビールでも苦く感じる度合いが違う
・同じ食べ物でも好き嫌いが分かれる

といった現象が起こります。

つまり、苦味の感じ方には「体質的な差」があるということです。


苦味は慣れるのか

苦味は「慣れる味」と言われることがあります。

実際に、

・最初は苦手だったビールが飲めるようになった
・コーヒーが飲めるようになった

という経験を持つ人は多いと思います。

これは味覚そのものが変わるというよりも、

経験によって脳の認識が変わる

ことによるものです。

繰り返し経験することで、

・危険ではない
・むしろ心地よい

認識が更新されていきます。


子供が苦味を嫌う理由

子どもが苦味を嫌うのは、ごく自然な反応です。

苦味は本来、毒を示すサインであり、

「避けるべきもの」

として認識されるからです。

そのため、

・ピーマン
・ゴーヤ
・コーヒー

などは、子どもにとって苦手な味になりやすいです。

成長とともに経験が増えることで、徐々に受け入れられるようになります。


地域による味覚の違い

食文化

食文化は、味覚の形成に大きな影響を与えます。

例えば、

・苦味のある野菜をよく食べる地域
・発酵食品が多い地域

では、苦味に対する抵抗が少ない傾向があります。


香辛料

香辛料の使用も味覚に影響します。

スパイスを多く使う文化では、

・刺激に慣れている
・複雑な味を受け入れやすい

といった特徴があります。

その結果、苦味も含めた多様な味を楽しむ傾向が強くなります。


なぜ大人は苦味を好きになるのか

大人になると、苦味を楽しめるようになる人が増えます。

これは、

・経験の積み重ね
・文化的な影響
・社会的な価値観

などが関係しています。

例えば、

・ビールやコーヒーは「大人の飲み物」とされる
・苦味を楽しめることが一種の経験値として扱われる

といった側面もあります。

また、苦味の中に

・コク
・香り
・余韻

といった複雑さを感じ取れるようになることも理由の一つです。


ビール好きとして思うこと

苦味についてここまで整理してみると、「苦い・苦くない」という感覚は、とても個人的なものだと改めて感じました。

同じビールを飲んでも、人によって感じ方は違います。

それは単なる好みという一言ではなく、
・遺伝
・経験
・文化

といった背景を通じて、その人に備わった“味覚”なのだと思います。

また、クラフトビールで“苦いビール”が生まれるのも、ブルワーの人間的背景(前回記事)や個人的背景(今回記事)を通じて生み出されたものだと、改めて感じました。

“苦さの好き嫌い”は、最終的には個人の好みになります。

ただ、「好きだから美味しい」「嫌いだから美味しくない」という見方だけではなく、

・苦さの種類(ホップ由来か・ホップ以外か)
・個人的な味覚(人間的背景・個人的背景)

といった視点から見ていくことで、ビールはさらに面白くなるのではないでしょうか。

また、「経験の積み重ねによって味覚(脳の認識)が変わる可能性がある」と言われています。

僕自身、苦味に対する認識は増えてきましたが、感じ方そのものは、今のところあまり変わっていないように思います(笑)

今後、僕自身の苦さに対する感じ方が変わるのかどうかも含めて、ビールを楽しみながら見ていけたらと思います。


まとめ

苦味の感じ方には、大きな個人差があります。

その背景には、

・遺伝(味覚受容体)
・経験(慣れ)
・文化(食習慣)

といった要素が関係しています。

つまり、

・苦味は「客観的なもの」でありながら
・「主観的にも変わるもの」

と言えます。

ここまで見てきたように、ビールの苦味は

・成分
・人間の仕組み
・歴史や文化
・個人差

といった多くの要素が重なって成立しています。

苦味を知ることは、ビールを知ることでもあるのかもしれません。

次の記事では、

「苦い飲み物のコーヒーがなぜ愛されるのか」

というテーマで、別の苦い飲み物をから、「苦さ」について理解を深めていきましょう。

 ▶ コーヒーはなぜ苦いのに愛されるのか?歴史・文化・味覚から解説

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関連リンク

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 ▶ ビールの苦味を深掘りする|ホップ・味覚・文化まで全体像を整理

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