酵母でビールの味は変わる?ワイン酵母・日本酒酵母との違いを解説【03-7】

酵母によってビールの味が変わることを比較したイメージ

ビールの発酵といえば、「ビール酵母」を使うのが一般的です。
しかし実際には、ビール以外の酵母を使ったビールも存在します。

例えば、

・ワイン酵母を使ったビール
・日本酒酵母を使ったビール

といったように、酵母を変えることで、味や香りに変化をつけることができます。

この記事では、

・ワイン酵母とはどのような酵母か
・日本酒酵母とはどのような酵母か
・ビール酵母との違い
・味や香りへの影響

といった観点から、「酵母を変えると何が起きるのか」を整理していきます。

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ワイン酵母

ワイン酵母とは

ワイン酵母は、主にブドウの果汁を発酵させるために使われる酵母です。
糖分の多い環境でも安定して発酵できるように選抜されています。

アルコール耐性が比較的高く、ドライでスッキリとした仕上がりになりやすい特徴があります。

ビールに使った場合の特徴

ワイン酵母をビールに使うと、ビール酵母とは異なる香りの出方をします。

例えば、

・白ワインのような香り
・フルーティーで軽やかな印象
・ドライな飲み口

といった特徴が現れることがあります。

特に、ホップの香りと組み合わさることで、ワインのようなニュアンスを持つビールになることもあります。

発酵の違い

ワイン酵母は、シンプルな糖を素早く発酵する傾向があります。そのため、ビールに使った場合も、

・発酵の進み方
・残糖のバランス

が変わり、口当たりや余韻に違いが出ます。

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日本酒酵母

日本酒酵母とは

日本酒酵母は、米と麹によって作られた糖を発酵させるための酵母です。
低温環境でも発酵できるように調整されているものが多く、繊細な香りを生み出す特徴があります。

ビールに使った場合の特徴

日本酒酵母をビールに使うと、独特の香りや味わいが現れます。

例えば、

・吟醸香のような華やかな香り
・やや甘みを感じる印象
・なめらかな口当たり

といった特徴が出ることがあります。

特に、日本酒らしい香りは、ビール酵母とは異なる方向性の魅力です。

発酵の特徴

日本酒酵母は、低温でもゆっくりと発酵する性質があり、発酵の進み方や香りの出方が独特です。

そのため、ビールに使う場合でも、発酵温度や工程の設計によって、仕上がりが大きく変わります。

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香りの違い

酵母による香りの方向性

酵母の違いは、特に「香り」に強く現れます。

・ビール酵母 → ビールらしい香り(パン、フルーツ、スパイスなど)
・ワイン酵母 → ワインのようなフルーティーさ、軽やかさ
・日本酒酵母 → 華やかで繊細な吟醸香

といったように、同じビールであっても、酵母が変わるだけで印象が大きく変わります。

香りと味の関係

香りは味わいの感じ方にも影響します。

例えば、

・フルーティーな香り → 甘く感じやすい
・ドライな香り → すっきり感じやすい

といったように、香りが味の印象を補強します。

そのため、酵母の違いは、単なる香りの違いにとどまらず、全体の味わいにも影響します。

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スタイルへの影響

酵母が変わるとスタイルも変わるのか

酵母を変えることで、ビールの印象は大きく変わります。

ただし、それによって必ずしもスタイルが完全に変わるわけではありません。

スタイルは、

・原料
・製法
・発酵
・歴史

といった複数の要素によって決まるため、酵母だけで決まるものではありません。

スタイルの境界が曖昧になる

ワイン酵母や日本酒酵母を使ったビールは、既存のスタイルに当てはめにくいことがあります。

そのため、

・〇〇風のビール
・ハイブリッドスタイル

といった表現が使われることもあります。

クラフトビールでは、こうした自由な発想によって、新しい表現が生まれています。

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実際に飲んだときの感じ方

日本酒酵母、ワイン酵母を使ったビールは珍しいと思います。
もし、飲みに行って出会った場合は、このよう感じ方をしてみてはいかがでしょうか。

酵母の違いをどう感じるか

実際に飲むときは、まず香りに注目してみるのがおすすめです。

・ワインのようなニュアンスがあるか
・日本酒のような香りがするか
・いつものビールと違う印象があるか

といった視点で感じてみると、酵母の違いが見えてくるかもしれません。

味の印象にも注目する

香りだけでなく、

・飲み口の軽さ
・甘みの感じ方
・余韻

といった部分も、酵母の影響を受けています。

「なんとなく違う」と感じた部分を、少し言葉にしてみることで、理解が深まります。

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ビール好きとして思うこと

酵母と原材料の組み合わせで考えると、お酒の違いはある程度整理して捉えることができると感じています。

例えば、次のような組み合わせが考えられます。

① ビール酵母 × 麦芽          → ビール
② ビール酵母 × 麦芽+副原料(米など)  → ビール
③ 日本酒酵母 × 麦芽          → ビール(特殊な例)
④ 日本酒酵母 × 麦芽+副原料(米など)  → ビール(特殊な例)
⑤ 日本酒酵母 × 米+米麹        → 日本酒

このように整理してみると、同じ「ビール」というカテゴリの中でも、酵母や原料の組み合わせによって、さまざまな方向性が生まれることが見えてきます。

振り返ると、これまでに飲んだビールの中にも、日本酒のような香りや、やわらかい飲み口を感じるものがありました。

そうしたビールは、日本酒酵母を使っていた可能性もあり、酵母の違いが味わいに影響していることを実感します。

クラフトビールを飲み歩く中で、こうした多様なビールに出会えること自体が、楽しみ方の一つなのかもしれません。

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まとめ

酵母を変えることで、ビールの味や香りは大きく変わります。

ワイン酵母や日本酒酵母を使うことで、ビールの枠を少し超えたような、新しい味わいが生まれることもあります。

ただし、スタイルは酵母だけで決まるものではなく、さまざまな要素の組み合わせによって成り立っています。

酵母という視点を持つことで、ビールの違いをより深く理解できるようになります。

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