スーパーやコンビニに行くと、さまざまなビール系飲料が並んでいます。
ビール
発泡酒
第三のビール
見た目は似ていますが、価格や表示が少しずつ違っています。
普段はあまり意識しないかもしれませんが、日本ではこれらの飲み物は法律や税制度によって分類されています。
つまり、日本のビール市場には
ビール系飲料の分類
という仕組みがあります。
この分類は味の違いだけではなく、
酒税制度や市場の歴史とも深く関わっています。
この記事では、日本のビール系飲料の分類を整理しながら、ビール・発泡酒・第三のビールの違いを見ていきます。
日本のビール系飲料の分類
現在、日本のビール系飲料は大きく3つに分類されています。
・ビール
・発泡酒
・第三のビール(新ジャンル)
この分類は
- 原料
- 麦芽の割合
- 製造方法
などによって決まります。
そしてそれぞれのカテゴリーに対して、異なる酒税が設定されています。
つまりこの分類は
味の違いというより、制度によって作られた分類
とも言えます。
ビール
まず最も基本となるのが「ビール」です。
ビールは酒税法によって定義されており、主な条件は次の通りです。
・麦芽比率50%以上
・ホップを使用
・発酵によってアルコールを生成
つまりビールは
麦芽・ホップ・酵母による発酵酒
という基本構造を持っています。
一般的に私たちが「ビール」と呼んでいる商品は、この条件を満たしたものです。
例えば
・キリン 一番搾り
・サッポロ 黒ラベル
・アサヒ スーパードライ
・サントリー ザ・プレミアム・モルツ
などがビールに分類されます。
発泡酒
次に登場するのが「発泡酒」です。
発泡酒は、ビールと似た製法で作られますが、次のような違いがあります。
・麦芽比率が50%未満
・副原料の使用条件が異なる
つまりビールに近い飲み物ですが、法律上は別のカテゴリーになります。
発泡酒は1990年代に登場し、日本のビール市場に大きな変化をもたらしました。
ビールよりも税率が低いため、メーカーはビールに近い味わいを持つ商品として発泡酒を開発しました。
その結果、発泡酒は急速に広がり、1990年代後半から2000年代にかけて大きな市場を形成するようになります。
代表的な商品としては
・キリン 淡麗グリーンラベル
・アサヒ 本生
・サッポロ 麦とホップ(初期)
などがあります。
第三のビール
発泡酒が広がると、今度は発泡酒の税率も引き上げられていきます。
その結果、メーカーはさらに新しいカテゴリーの商品を開発しました。
それが「第三のビール」と呼ばれるものです。
第三のビールにはいくつかのタイプがあります。
・麦芽を使わないビール風飲料
・発泡酒に別のアルコールを加えた商品
これらはビールでも発泡酒でもない、新しいカテゴリーとして扱われました。
こうして日本のビール市場には
ビール
発泡酒
第三のビール
という三つのカテゴリーが並ぶことになります。
このような構造は、世界的に見ても日本特有のものです。
なぜこの分類が生まれたのか
では、なぜ日本ではこのような分類が生まれたのでしょうか。
その大きな理由は、酒税制度です。
日本では酒類ごとに税率が設定されています。
ビールは長い間、高い税率の商品でした。
そこでメーカーは、税率の低いカテゴリーの商品を開発するようになります。
例えば
・麦芽比率を下げる
・別の原料を使う
・製法を変える
こうした工夫によって、発泡酒や第三のビールといった商品が生まれました。
つまり日本のビール市場では
税制度
↓
商品開発
↓
新しいカテゴリー誕生
という流れが生まれたのです。
ビール好きとして思うこと
「ビール」「発泡酒」「第三のビール」と聞くと、最初に思い浮かぶのは「値段の違い」でした。
ビールは高く、発泡酒や第三のビールはビールと比べると安い。
そんなイメージを持っていました。
酒税制度による価格の違いから、そうしたイメージを持っていたのかもしれません。
クラフトビールを飲み始める前は、「ビール」「発泡酒」「第三のビール」の違いを、明確には理解していなかったのもあります。
ただ、飲み会でビール好きの人がこんなことを言っていたのを覚えています。
「やっぱりビールがうまいよね」
「発泡酒は、美味しくない」
そして、僕自身も同じようなことを言っていた気がします。
酒税制度による価格の違いから、「高いものが美味しい」というイメージも、どこかにあったのかもしれません。
時は流れ、クラフトビールを飲み歩くようになり、少しだけビールに詳しくなりました。
クラフトビールでも、発泡酒に分類されるものはあります。
高いビールでも、美味しくない(自分の口に合わない)ものもあります。
そう考えると、「ビール」「発泡酒」「第三のビール」という分類をあまり意識せず、気になったビールを飲んでみても良いのかもしれません。
分類ではなく、自分の考えや感覚で選んでみる。
そうした方が、ビールはもっと面白く飲めるのではないかな、と思います。
昔は「値段」でビールを見ていた気がします。
今は「味」や「面白さ」でビールを見るようになりました。
まとめ
日本のビール系飲料は
・ビール
・発泡酒
・第三のビール
という三つのカテゴリーに分類されています。
この分類は単なる味の違いではなく、酒税制度や市場の歴史と深く関係しています。
その結果、日本のビール市場は世界でも少し特殊な構造になりました。
ビールを理解するためには、味やスタイルだけでなく、制度や分類の仕組みを見ることも重要です。
次の記事では、日本の法律上の定義から
「ビールとは何か」をもう少し詳しく見ていきます。
▶ ビールとは何か(法律上の定義) ― 酒税法から見る日本のビールの条件【22-4】
・ハイボール
・チューハイ
・クラフトビール
・ノンアルコール
など、さまざまな選択肢が広がっています。
ビールの消費量は減少していると言われることもありますが、その一方でビールの楽しみ方は広がっているとも言えるでしょう。
日本のビール文化は、
「量の時代」から「多様化の時代」へ
と変化しているのかもしれません。
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関連リンク
■ ビールの基本・味わい・歴史・市場までを体系的に整理した一覧記事
▶ ビール・クラフトビール基礎記事一覧
■ 日本のビール市場を知る
▶ 日本のビール市場を理解する ― 酒税・分類・市場構造まで一気に整理【22】
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