スーパーやコンビニに行けば、ビール売り場には多くの商品が並んでいます。
また居酒屋やレストランでも、当たり前のようにビールを注文することができます。
私たちは普段あまり意識しませんが、ビールはさまざまな流通経路を通って、私たちの手元に届いています。
ビールは
・製造(ブルワリー)
・卸売
・小売
・飲食店
といった複数の段階を経て流通しています。
この流れを理解すると、スーパーの売り場や飲食店のビールの見え方も少し変わってくるかもしれません。
この記事では、日本のビールがどのような流通構造の中で販売されているのかを整理していきます。
ビールの流通構造
日本のビール流通は、基本的には次のような構造になっています。
ビールの流通構造
ブルワリー(メーカー)
↓
卸売業者
↓
小売店・飲食店
↓
消費者
つまり、メーカーが製造したビールは、
まず卸売業者を通じて、スーパーやコンビニ、飲食店などに届けられます。
この構造は、ビールに限らず多くの食品や飲料でも見られる一般的な流通構造です。
ただしビールの場合、
・酒税制度
・酒類販売免許
・物流インフラ
などの影響もあり、独特の流通構造が形成されています。
大手ビールメーカーの流通
日本のビール市場は、長い間
・アサヒビール
・キリンビール
・サントリー
・サッポロビール
といった大手メーカーが中心となってきました。
これらの企業は巨大な生産設備を持つだけでなく、
非常に強い流通網を持っていることでも知られています。
例えば、
・全国に広がる販売網
・大量輸送を可能にする物流システム
・スーパーやコンビニとの取引関係
などが整備されています。
そのため、日本ではどこに行っても
・スーパードライ
・一番搾り
・黒ラベル
などの有名銘柄を購入することができます。
これは大手メーカーの流通力の強さを示しているとも言えるでしょう。
クラフトビールの流通
一方で、クラフトビールの流通は大手メーカーとは少し違います。
クラフトビールの多くは
・小規模ブルワリー
・地域密着型の醸造所
によって造られています。
そのため流通経路も
・ブルワリー直営店
・ブリューパブ
・ビアバー
・オンライン販売
など、比較的多様です。
例えば、
ブルワリー
↓
直営タップルーム
↓
消費者
といった形で、
製造者から直接消費者へ届く流通も多く見られます。
また近年では
・スーパー
・コンビニ
でもクラフトビールを見かける機会が増えてきました。
例えば
・よなよなエール
・インドの青鬼
などは、全国の小売店でも購入できるようになっています。
このように、クラフトビールの流通も少しずつ広がっています。
ビール流通のこれから
日本のビール流通は、今後も変化していく可能性があります。
その背景の一つが、酒税制度の変化です。
長い間、日本では
・ビール
・発泡酒
・第三のビール
で税率が異なっていました。
しかし2026年には、これらの税率が基本的に統一される予定です。
これによって
・商品構成
・価格
・市場競争
などが変わる可能性があります。
また、EC(オンライン販売)の拡大も流通を変える要因の一つです。
近年では、
・オンラインショップ
・ブルワリーの直販サイト
などを通じてビールを購入する人も増えています。
流通の形も、少しずつ変化していると言えるでしょう。
ビール好きとして思うこと
クラフトビールを飲み歩くようになってから、ビールの流通について少し考えるようになりました。
スーパーやコンビニに並ぶビールは、全国どこでも同じような商品を購入することができます。
これは大手ビールメーカーの強い流通力があるからこそ実現しているのだと思います。
一方で、ブリューパブやビアバーに行くと、そのお店でしか飲めないビールに出会うことがあります。
さらにビールイベントに行くと、多くのブルワリーのビールを同時に飲むことができます。
ある意味では、ブルワリー自身が直接お客さんにビールを届けているような形で、通常の流通とは少し違った形の「流通」とも言えるのかもしれません。
また、インターネット通販では数多くのビールを購入することがでるし、ふるさと納税の返礼品としてクラフトビールを選ぶこともできます。
こうした流通経路や販売チャネルが広がったことで、消費者の選択肢が増えていることを強く感じます。
かつては似たような価格帯のビールが多かった時代もありましたが、現在では多種多様な銘柄と、さまざまな価格帯のビールを選べるようになりました。
そうした時代の変化の中で、
人が何を求めているのか、そしてなぜそれを求めているのかが、
「ビール」という身近なお酒を通して見えてくるような気もしています。
ビールの流通が広がることで、飲み手の価値観も、より多様に表れてきているのかもしれません。
例えば、スーパードライを選ぶ人の中にも、
・ビールの中でも比較的手に取りやすい価格だから選ぶ人
・スーパードライそのものが好きで選ぶ人
など、さまざまな理由があります。
以前、スーパードライが大好きという方と話をしたことがあるのですが、その方の「スーパードライ愛」がとても伝わってきて、話していて楽しかったことを思い出します。
「高い=良い」
「安い=良くない」
「ビール=美味しい」
「ビール以外=劣化ビール」
といった単純な話ではなく、それぞれの人の価値観に沿った選び方が、ビールの世界にもあるのだと思います。
ビールの流通や市場の広がりを見ることで、
そんな個人の価値観の違いが、より見えやすくなっているのかもしれません。
まとめ
日本のビールは
・メーカー
・卸売業者
・小売店
・飲食店
といった流通経路を通って、私たちの手元に届いています。
大手ビールメーカーは強い物流ネットワークを持ち、
全国どこでも同じ品質のビールを購入できる環境を作ってきました。
一方でクラフトビールは
・ブルワリー直営
・ビアバー
・オンライン販売
など、多様な流通経路を持っています。
このように、日本のビール市場は
大手メーカーの広い流通網と、クラフトビールの多様な流通
という二つの特徴を持っています。
ビール流通の仕組みを知ると、
普段何気なく見ているビール売り場や飲食店のメニューも、
少し違った視点で見えるようになるかもしれません。
こうして見ていくと、日本のビール市場は
制度・市場・価格・流通といった要素が重なり合って成り立っていることが分かります。
そしてその中心にあるのが、日本独特の酒税制度です。
次の記事では、このシリーズの締めくくりとして、日本のビール市場に大きな影響を与える「ビール税一本化」について見ていきます。
▶ ビール税の一本化 ― 日本のビール市場を変える酒税制度の大きな転換【22-11】
・ハイボール
・チューハイ
・クラフトビール
・ノンアルコール
など、さまざまな選択肢が広がっています。
ビールの消費量は減少していると言われることもありますが、その一方でビールの楽しみ方は広がっているとも言えるでしょう。
日本のビール文化は、
「量の時代」から「多様化の時代」へ
と変化しているのかもしれません。
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関連リンク
■ ビールの基本・味わい・歴史・市場までを体系的に整理した一覧記事
▶ ビール・クラフトビール基礎記事一覧
■ 日本のビール市場を知る
▶ 日本のビール市場を理解する ― 酒税・分類・市場構造まで一気に整理【22】
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