スーパーやコンビニでお酒売り場を見ると、「発泡酒」というカテゴリーをよく目にします。
価格を見ると、ビールより少し安い。
見た目もビールに似ている。
しかし、「発泡酒とは何か」と聞かれると、意外と説明が難しいかもしれません。
実は発泡酒は、日本の酒税制度によって生まれた、非常に日本的なお酒のカテゴリーです。
この記事では、発泡酒の定義と、その誕生の背景、日本のビール文化との関係を整理していきます。
日本のビール系飲料の分類
まず、日本のビール系飲料は次のように分類されています。
日本のビール系飲料
├ ビール :麦芽50%以上
├ 発泡酒 :麦芽50%未満
└ 第三のビール:麦芽なし / 別製法
この分類は味ではなく、酒税法による定義で決まっています。
つまり発泡酒とは、味の違いではなく、法律上の条件によって決まるカテゴリーなのです。
発泡酒の基本的な定義
発泡酒とは、簡単に言うと
麦芽比率が50%未満のビール系飲料
です。
日本ではビールと呼ばれるためには、麦芽の割合が50%以上である必要があります。
そのため、麦芽の割合を50%未満にすると、法律上はビールではなく発泡酒になります。
例えば
・麦芽40%
・麦芽30%
・麦芽10%
といったレシピの場合、分類はすべて発泡酒になります。
この定義は、日本のビール市場を理解する上で非常に重要なポイントです。
なぜ発泡酒が生まれたのか
発泡酒が登場した背景には、日本の酒税制度があります。
日本では長い間、ビールには比較的高い税金がかけられてきました。
そのため、メーカーは
ビールより税金の低い商品
を開発することを考えます。
そこで注目されたのが
麦芽比率
でした。
麦芽の割合を50%未満にすれば、法律上はビールではなく発泡酒になります。
結果として、税率が下がり、価格を抑えた商品を作ることができました。
※具体的にどれ位の税かをこちらの記事で解説してます。 → 日本のビール税とは何か
こうして誕生したのが発泡酒です。
発泡酒の代表的な商品
1990年代後半から2000年代にかけて、発泡酒は大きく広がりました。
代表的な商品としては
・キリン 淡麗
・アサヒ 本生
・サッポロ 北海道生搾り
などがあります。
これらは、ビールに近い味わいを持ちながら、価格を抑えた商品として人気を集めました。
特に「キリン淡麗」は、日本の発泡酒市場を象徴する商品として知られています。
発泡酒には複数のタイプがある
実は発泡酒と一口に言っても、いくつかのタイプがあります。
例えば
① 麦芽比率を下げたタイプ
② 原料を工夫したタイプ
です。
①は、ビールの原料構成に近いものです。
麦芽を少し減らし、他の原料を使うことで、発泡酒として分類されます。
②は、クラフトビールでもよく見られるタイプです。
例えば
・フルーツ
・スパイス
・ハーブ
などを使った場合、条件によっては発泡酒として扱われることがあります。
つまり発泡酒は、「安いビール」というだけではなく、制度の枠組みの中で生まれた幅広いカテゴリーなのです。
発泡酒と第三のビール
2000年代に入ると、発泡酒よりさらに税率の低いカテゴリーが登場します。
それが
第三のビール
です。
第三のビールは
・麦芽を使わない
・別の原料(例えばエンドウたんぱくや大豆由来原料など)でビール風の味を作る
などの方法によって作られます。
これにより、日本のビール市場は
ビール
発泡酒
第三のビール
という三層構造になりました。
発泡酒の現在
現在でも発泡酒は、日本のビール市場の重要なカテゴリーの一つです。
ただし近年は、酒税制度の改正によって、ビール・発泡酒・第三のビールの税率が徐々に近づけられています。
この制度変更によって、市場の構造も少しずつ変化しています。
かつては「価格差」が発泡酒の大きな魅力でしたが、現在はそれだけではなく、商品としての個性やブランドも重要になっています。
ビール好きとして思うこと
僕が発泡酒と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、「淡麗グリーンラベル」です。
価格も安く、口にも合った発泡酒でした。
ビール税の仕組みから、ビールと発泡酒を比べると、発泡酒の方が安い。
そして当時は、「ビールみたい」「ビールと変わらない」そんなCMをよく見た気がします。
大手ビールメーカーのCMを通じて、
「ビール=高い・旨い」
「発泡酒=安い・劣化版ビール」
そんなイメージが、どこかで刷り込まれていたような気がします。
2026年には、ビール系飲料の税率が一本化されます。
もし
「ビール=高い・旨い」
「発泡酒=安い・劣化版ビール」
というイメージのままで、価格がほぼ同じになった場合、消費者はどんな選択をするのでしょうか。
イメージのままだったら、ビールを選ぶ人が多くなるような気もしています。
そうなると、「発泡酒」に対して新しいイメージのCMが打たれるのか。
あるいは、イメージは変えず、企業努力によって価格を抑える方向に進むのか。
また、原材料などの視点から別の切り口が生まれ、新しい銘柄が登場することで、大手ビールでもさらに多様性が出てくるのかもしれません。
それとも、まったく別の道が生まれる可能性もあります。
いずれにしても、ビール市場の大きな転換点になりそうです。
興味深い2026年秋になりそうです。
2026年秋を楽しみにしたいと思います。
(ここまで2026年3月時点の執筆)
まとめ
発泡酒とは、麦芽比率が50%未満のビール系飲料です。
このカテゴリーは、日本の酒税制度の中で生まれました。
ビールより税率が低い商品として登場し、日本のビール市場を大きく変えていきます。
現在では、発泡酒は日本のビール文化の一部として定着しています。
ビールを理解するためには、ビールだけでなく、発泡酒というカテゴリーを知ることも重要です。
次の記事では、発泡酒のさらに先に登場した
「第三のビール」
について見ていきます。
▶ 第三のビールとは何か ― 発泡酒の次に生まれた、日本独自のビール文化【22-6】
・ハイボール
・チューハイ
・クラフトビール
・ノンアルコール
など、さまざまな選択肢が広がっています。
ビールの消費量は減少していると言われることもありますが、その一方でビールの楽しみ方は広がっているとも言えるでしょう。
日本のビール文化は、
「量の時代」から「多様化の時代」へ
と変化しているのかもしれません。
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関連リンク
■ ビールの基本・味わい・歴史・市場までを体系的に整理した一覧記事
▶ ビール・クラフトビール基礎記事一覧
■ 日本のビール市場を知る
▶ 日本のビール市場を理解する ― 酒税・分類・市場構造まで一気に整理【22】
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